――「食べることは生きること」とはよく言いますが、食べるものを選ぶことは、よりよく生きることにつながります。ひとつひとつの食材が持つパワーを知って食べれば、欲しい運気を身体に取り込むことができるからです。
旬の食材や土地のパワーが入ったおやつは、生活を彩ります。また、運気アップにも欠かせません。バランス良く取り入れれば、開運間違いなしです。
この連載では、縁起が詰め込まれたご利益おやつ&開運おやつを紹介していきます。
【開運】商売繁盛を願う「切山椒」
切山椒とは
切山椒は東京の浅草・新宿、山形の鶴岡、山梨の甲府~富士吉田あたり、神奈川の一部などで売られる甘いお餅(求肥)のおやつです。縁起ものとして、特に商売人に人気。切った餅は「商売の切り回しが良くなるように」、拍子木の形は「火の用心」の意味があります。
切山椒の由来は、正確には伝わっていません。誕生したのは江戸時代で、浅草の酉の市で売られていたようです。それを見た山形の商人が、故郷に持ち帰ったとも言われます。山梨では昔からいつの間にか食べられていて、浸透しています。
作り方は上新粉と砂糖、山椒の粉を混ぜて練って蒸し、臼でついてお餅状になったら、それを細い拍子木に切ります。山形では、蕎麦状に切るものも。食紅や黒砂糖、抹茶などで色づけをします。
山椒の開運効果
柑橘系の爽やかな香りと、ピリッとしびれる辛さが美味な山椒。強い香りとしびれ味から、魔を祓う効果があるとされてきました。また実を多くつけるところから、子だくさん・繁栄の象徴ともされています。
日本にも広く自生していて、最古の香辛料と言われています。実だけでなく花・若芽・葉・樹皮、木材も利用できる万能植物です。
「縁起物」の切山椒
浅草や鶴岡では、酉の市やだるま市がある師走から正月、節分の頃に売られます。厄を祓い、商売繁盛と新年の開運を願うお菓子として人気を博しています。
山梨では、冬以外でも売っていることがあります。ここで紹介する「甲州 切りさんしょう」は、山梨県の老舗製菓店「斉木製菓」のもの。6月にJAで購入しました。
お餅は甘さ控えめで、しっかりと弾力があります。山椒の香りはほんのりですが、ちゃんと山椒。山椒好きにオススメです。4色の切山椒が入っていましたが、味に違いはありませんでした。
ただ、日持ちは1週間ほど。秋から冬にかけては酉の市の名物にもなりますが、その他の季節はご当地でないと、なかなか手に入れるのは難しそうです。縁起のいいおやつですので、見かけたらぜひ食べてみてください。